メタボリックシンドロームとは

肥満症・高血圧症・糖尿病・高脂血症は生活習慣病といわれている疾患です。これらは個々の原因で発症するというよりも実は、肥満。特に、内臓脂肪が蓄積したことによるものと考えられています。内臓脂肪蓄積によりさまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリックシンドローム」と呼ばれております。

肥満は体のどの部位に脂肪がつくかによって、2つのタイプに分かれます。
下腹部・腰まわり、太もも、お尻のまわりの皮下に脂肪が蓄積するタイプを「皮下脂肪型肥満・・洋ナシ型肥満(図1)」、内臓のまわりに蓄積するタイプを「内臓脂肪型肥満・・リンゴ型肥満(図2)」と呼ばれています。


このうち、皮下脂肪型は外見から分かりやすいですが、内臓脂肪型では分かりにくいことが結構あります。また、内臓脂肪はホルモンの関係で、女性よりも男性の方がつきやすくなっています。更に筋肉が女性より多い分、その熱源としての内蔵脂肪も多くなっているのです。女性は内臓脂肪よりも皮下脂肪の方が多くありますが、不規則な生活をしていると内臓脂肪もついてきます・・ご注意を!!

皮下脂肪型肥満・・洋ナシ型肥満 内臓脂肪型肥満・・リンゴ型肥満

内蔵脂肪型肥満を簡便に調べる方法としてウエスト長(へそまわり)を計測します。男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば疑われます。 しかし、内臓脂肪のつきかたは個人差が大きく、ウエスト長からではその定量を正確に求めるには極めて困難ですが、最近ではX線CTにより腹部の断面を撮像することで詳細な内臓脂肪面積が求められます。

さて、メタボリックシンドロームといわれる概念が確立された目的は、動脈硬化による心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの循環器病をいかに予防するかということです。 なかなか症状として出にくい動脈硬化は、それが原因で働き盛りに循環器病として発症することも多く、生命に関わる重大な病気であり、後遺症も深刻です。 動脈硬化にならないために、日々の生活習慣に無理をしないよう心掛けましょう。

内臓脂肪計測ソフトを導入しました!!

協和病院 放射線科

本年4月より始まりました、特定健診の主目的である生活習慣病対策において、最も重要視されているのが「メタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満)」です。 その診断基準は関連する内科系8学会が2005年4月に制定をしました(図1)。内臓脂肪がたくさん蓄積すると、脂肪細胞から分泌される生理活性物質である「アディポサイトカイン」の分泌が減少し、動脈硬化を進行させてしまうことが最近の研究で明らかになってきました。 これが引き金となり、血管は硬く細くなり、血流悪化により詰まったり、破綻してしまうことで心臓病や脳卒中を引き起こしてしまいます。非常に厄介なこの内臓脂肪の蓄積は、初めのうちは全く自覚症状が出ず、症状が現れた時にはかなり病気が進行していることが多いのです。 この「メタボ」を食い止めるには症状の出る前の早い段階で気付くことが重要です!!
今回当院では、ウエスト周囲径の計測だけでなく、内臓脂肪面積を定量評価するソフトを導入しました。 X線CTによりおへそレベルの断面を撮像し、そのデータを外部のPCに転送。内臓脂肪と皮下脂肪面積は瞬時に計測されレポート出力をします。その時間僅か3分程度であり、過去のデータとの比較も容易で一目で判断が可能です。 数分の時間で現在の内蔵脂肪の状態が把握できる検査、是非この機会にお受けいただければと思っております。

(Fat Checker for VOX-BASE/VIEW J-MAC SYSTEM)

メタボリックシンドローム
  • 測定当日は正確なデータの収集と、今後の測定の再現性を高める為に絶食でご来院下さい。
  • 衣服は着用のままで測定出来ます。
  • 位置確認の為、おへそ中心に上下5cm程度を出してください。(図2)
  • 撮像時間は5秒程度です。
  • 呼吸により脂肪面積が大きく変動する為、軽い吸気で息止めを行ってください。
  • 撮像終了後数分で結果が出力され、最大過去3回の測定結果が表示されます。
  • 費用は保険診療適用とならず、1500円をいただきます。
  • 測定結果(図3)は会計にてお支払い時にお渡しします。
  • ご質問などありましたら、お気軽に放射線科担当技師までお尋ねください。
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